日本語教師体験談(メキシコ ヌエボ・レオン州) 

メキシコ北部のヌエボ・レオン州というところで3年程度日本語教師をしていていました。
メキシコで働くことを決めたきっかけから、学校の様子、生活情報について語っていきたいと思います。

どうしてメキシコで?

日本語教師養成講座を修了し、日本語教育能力検定試験を受け、結果を待ちつつインターネットや、現地に実際に赴いたりなどして、海外で日本語を教える求人を探していました。
そこで、日本村(http://job.nihonmura.jp/)というホームページでベトナムとメキシコの求人を見つけました。
ベトナムの学校は東京で、メキシコの学校はスカイプで面接を受けました。
どちらも合格し、どちらの学校に行くか悩みましたが、最終的にメキシコに行くことを決めました。

メキシコに行くことに決めた理由は主に2つあります。

〇ベトナムなら日本から簡単に行けるが、メキシコはそう簡単に行くことができない
〇その学校で働く人なら、無料でスペイン語のクラスを受けられる

治安の面でも心配になりましたが、既にそこで働く日本人の先生がいらっしゃるという心強さ、そして、趣味で勉強していたスペイン語のレベルアップにもつながると思い、メキシコで働くことに決めました。

ちなみに、メキシコの学校の面接では「家族がメキシコに行くことに同意しているか」という質問がありました。過去に、採用が決まったものの、家族の反対で突然辞退された方がいたそうです。

メキシコに行くまで

採用が決まり、すぐにメキシコに行けると思いきや、就労ビザの手続きなどで、現地の日本人の先生が尽力していただいていたにも関わらず、4ヶ月程度かかりました。

こちらで用意したものは、スペイン語に翻訳した履歴書に加えて、パスポート、アポスティーユを付与した卒業証明書、日本語教育に関する証明書、戸籍謄本などでした。

待っている間の数カ月間はアルバイトをしながら、スペイン語の勉強や、ひらがな・カタカナのカードなどの教材を作成して過ごしていました。

ついに、メキシコへ!

メキシコ大使館で面接を済ませてしばらく後、ついにメキシコへ渡航しました。
アジアや欧米へ海外旅行は何度かしていたものの、初めてのメキシコで治安の不安もあり、びくびくしながら現地で迎えてくれた日本語の先生について行ったのを今でも覚えています。

初めて住んだのはシェアハウスでした。
1階には大家さんの家族、2階にはメキシコ人とベネズエラ人の同年代の女の子が住んでいました。


写真は共有スペースで一緒に海苔巻きを作ったときの様子。海苔巻き(メキシコではSUSHIという)はレストランやスーパーのお惣菜コーナーで売っているくらいポピュラーなメニューなので、お醤油と海苔、寿司用のお米は簡単に手に入ります。

スペイン語が日常会話レベルではなかった当時は、洗濯機、ウォーターサーバー、シャワーの使い方など、わからないことだらけでしたが、大家さん一家と、ルームメイトの二人が単語を言いながら身振り手振りで教えてくれたので、少しずつ表現や単語を覚えていきました。

半年ほどで生活に慣れてきてからは、大学そばの学生アパートに引っ越しました。
ワンルームで家具付きで家賃は少し高くなりましたが、一人で住むのは気楽なものでした。写真はアパートからの屋上。

参考までにルームシェア(キッチン、バス、トイレ共同)は約3000ペソ(約15000円)、ワンルームの場合は4000ペソ程度の家賃で、光熱費は地域によりますが月500ペソ程度と考えておけばいいと思います。

日本語教師の仕事

日本語教師としての実務経験ゼロでメキシコにやってきたわけですが、先輩の教師がいらっしゃったので、教案チェックや、授業見学とフィードバックをしていただき、大変勉強になりました。


日本語教師養成講座では日本語で日本語を教える直説法でしたが、この学校も直説法。「1つの文型につき10個は例文を考えてみて」というのがなかなか大変でしたが、今でも教えるうえで大切なことだと心に留めています。


私が働いていた学校では、現地のメキシコ人学生や社会人が日本語を学びに来ていました。初級から上級までのクラスがあり、日本語を学ぶ学生数は合計で100人ほどでした。初級のレベル1のクラスでは、直説法とはいえど、初めはクラスのイントロダクションや文字の種類の説明などでスペイン語を使う必要がありました。


初級の内容は、「そもそも日本語とは何か?」や「漢字とひらがな、カタカナの使い分け」といったことを説明するので、事前にPowerPointとスクリプトを作成し、スペイン語をチェックしてもらいました。


スペイン語を勉強したことがない日本語の先生もいましたが、仕事に慣れるまでは、初級後半から授業をし始め、そのうち初級レベル1のクラスができるように他の先生とペアになって練習をして、そのうち1人で受け持つといった方法をとっていました。

お昼の時間にはお弁当を持参したり、学校のそばにあるタコス屋さんでテイクアウトするなどしていました。メキシコはおいしくて安い食べ物が多く、マンゴーといった日本では高価なフルーツもお手頃なので、おすすめです。

休日の過ごし方

メキシコの日本語の学生さん達はフレンドリーで心温かい方が多く、授業後や休日にみんなで出かけることもありました。
例えばモンテレイから車かバスで一時間ほどのサンティアゴ。

昔ながらの街並みが残っていて小さいながらもとっても素敵な町です。

これはかぼちゃのエンパナーダ。パイ生地のような皮のなかにほんのり甘いエンパナーダはサンティアゴでも人気のスイーツ。


モンテレイ市街ではお祭りをしていることも。

ただし、スリなど治安には注意。地区によっては避けたほうがいい場所や、現地の人と一緒に行ったほうがいい場所があるので確認を。

これから海外を目指す日本語教師の皆さんへ


私にとって日本語教師をすることは、新しい世界へのカギを持つこと言えます。
日本語教師の仕事を始めたばかりのころは、授業準備の時間がかかりすぎて、割に合わないと感じたり、うまく教えられず疲弊することも多々ありましたが、
この仕事がきっかけとなり、今までよく知らなかったメキシコを知り、大好きになって、新しい友達ができて、視野も広がったと感じています。
現地に住んだからこそ体験できること、新しい発見がたくさんありました。
海外で日本語教師をしたいと思っている方にも、私のような素敵な体験をしてもらいたいです。

ヌエボ・レオン州 (ヌエボ・レオンしゅう、Estado de Nuevo León) は、メキシコの北東部に位置する州である。州都はモンテレイ (Monterrey) 。東にタマウリパス州、南にサカテカス州とサン・ルイス・ポトシ州、西にコアウイラ州と接する。北にはタマウリパス州が位置しているが、さらにその北15kmにはアメリカ合衆国との国境がある。

面積64,924km2、2010年国勢調査での人口は4,643,321人

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8C%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%83%B3%E5%B7%9E

メキシコ 日本語学習者数

最新動向
 2014年5月から国際交流基金メキシコ日本文化センター内でJF講座を開講。また、日本メキシコ学院と共催開講中のJF講座は2015年8月から中等部、高等部すべてのクラスで『まるごと』が使用されている。ベラクルス州立大学やメヒカリのUNISERなど『まるごと』教材を使用する日本語教育機関が年々増えてきている。
 2015年8月にグアナファト州グアナファト市とサラマンカ市のグアナファト大学付属高校に日本の高専制度を取り入れた高専コースが開講し2016年1月より日本語が教えられている。メキシコで公立の中等教育で日本語が必須となる初めてのケースであり、当地域における今後の日本語教育の発展が期待されている。
 2016年9月にグアダラハラ大学で日本研究センターが設立された。

https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/area/country/2016/mexico.html
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