海外に住み続けたい。バンコクのインターで日本語教師

🔳 その学校への応募の経緯・きっかけ・探した方法

イギリス留学をきっかけに、外国の人と繋がっていたい・海外に住み続けたいと考えるようになりました。ただ、海外で仕事を見つけるにはスキルが必要。そこで、イギリスの教員免許を取得することにしました。

日本では小・中学校での英語教育が必修化されていますが、他の国でも外国語は必修科目です。英語圏の国(アメリカ、オーストラリア、イギリスなど)では、外国語の授業でフランス語やスペイン語を習うことが主流ですが、学校によっては様々な言語の授業を導入しています。イギリスの生徒は、義務教育終了時に全国統一試験を受けなければならないのですが、現在、日本語を含めた15言語以上が外国語の試験科目として認められています。

セカンダリースクール(7年生から13年生、日本の小6から高3にあたる)の教員免許を取得してからは、TES(https://www.tes.com/jobs/)というウェブサイトで求人検索をしました。日本語を教えている学校は限られているのですが、イギリス、オーストラリア、その他の国のインターナショナルスクールの教員の求人が掲載されています。


🔳 学校紹介や仕事内容 

赴任したのはタイにあるイギリス系のインターナショナルスクール。生徒数約2,000人の小中高一貫校です。

外国語はスペイン語・フランス語・中国語・日本語の中から選択でき、3年生から9年生まで7年間におよび必修。10年生からは選択科目になります。日本語が好きな生徒は最終学年の13年生まで日本語の勉強を続け、日本の大学へ留学する生徒もいます。

日本語教諭としての仕事は多岐に渡ります。授業計画・準備、宿題のチェック、採点、レポート、カリキュラムの作成・編集、テスト作り、試験問題の分析・対策など。。。昼休みや授業後に質問にくる生徒の対応もします。

学校のカリキュラムに沿って授業を進めていくのですが、小学校低学年向けの外国語としての日本語教科書というものは数少なく、教材研究・開発をしなければなりません。特に低学年の生徒は集中力が長く続きませんし、できることも限られているので、授業の工夫や学級管理も必要です。

その他、学校では日本語教育以外の業務も求められます。生活指導などを行う学級担任を任されたり、授業後の部活動の参加、保護者会、大学の進路指導、学校行事の参加(運動会、遠足、修学旅行、対外試合の引率)などです。

修学旅行:東京観光。皇居にて

🔳 現地の言語は必要?

イギリス系のインターナショナルスクールということで、ほぼ全ての教師がイギリスから赴任しており、現地の言語は全く必要ありませんでした。現地採用の職員の方も、英語ができることが前提でした。航空券の手配、住居、健康診断、ビザの申請なども全て学校側が対応してくれました。

バンコクは多くの外国人が住んでいるため、行く場所にもよりますが、英語が話せる方が多いです。生活に必要なインターネットや携帯の契約も、問題ありませんでしたし、日本語で対応してくれる銀行や不動産会社もあるようです。

ただ、現地の生活に馴染む・現地の文化を理解するという面で、現地の言語の習得する努力は必要です。自身が外国語を学ぶことで、学習者の気持ちを理解したり、より良い学習方法を見つけ出したりすることもでき、自分の授業に活かすこともできますよ!


🔳 こんなところがよかった

積み重ねが求められる言語の習得に何年も関わり、生徒の成長を見ることができることが日本語教師のすばらしさだと思います。3年生で「あいうえお」の練習から始めた生徒が、13年生になった時、吉本バナナの「キッチン」を読むことができました。本当は他の言語を選択したかったのに、親に言われて日本語を始めたものの、興味を持てず授業に身が入らなかった生徒。ある時突然、日本語の面白さに気づき真剣に取り組み始めたり。暗記に苦手意識を抱いていた生徒が、自分に合った勉強法を見つけ出し、急に成績を伸ばしたり。各自のノートの取り方や家庭学習の仕方などの情報交換をして、どのように勉強に取り組むことが効果的か、話し合ったり考えさせたり。成長は言語の発達だけでなく、様々な生活態度の面でも見られます。生徒の成長から私自身が学ぶことも多く、貴重な体験をさせてもらっています。

授業風景:七夕の飾り付けをしているところ

日常生活の面では、タイという国はとてもよかったです。タイからの訪日観光客は増加しており(コロナ前)、日本に良いイメージを持つたくさんの人に出会うことができました。街には日本のレストランや店がたくさんあり、食材も簡単に手に入るので、たこ焼きやおすしなど一緒に調理する楽しい授業ができたことは、大切な思い出です。


🔳 苦労したこと

イギリスの学校教育において、義務教育を修了する11年生と大学入学に備える13年生は、全国統一試験を受けなければなりません。試験結果は進学や就職に関わるため、試験に対する知識、対策や準備をする授業が求められます。また、試験の結果は学校の名声、ひいてはその教師の指導力にも影響を及ぼします。仕事に結果が求められるのは当然のことですが、生徒のやる気を継続させるのはなかなか大変です。

また、日本語の指導の他に、「授業に遅れない・教室をきれいに使う・使ったものは元に戻す」など生活指導が必要な生徒もいます。できるようになるまで根気よく言い続けます。笑

保護者との対応が難しいケースもあります。学習面などで問題がある場合は、保護者に連絡を取る場合がありますが、学校や教師任せの保護者の方もいらっしゃいます。

街の様子:駅前にて。タイのお祭り(ロイクラトン)の日


🔳 休日・週末の過ごし方

学期中はかなり多忙ですが、夏休み・冬休み・春休みなど休みはたくさんもらえます。タイは東西南北、プーケット・クラビー・チェンマイをはじめ、観光地や絶景の見られる秘境など訪れるべき所がたくさんあります。観光立国なので、電車やバスなどで移動しやすいですし、LCCの航空券も簡単に手に入ります。日本と同じ右ハンドルの国なので、レンタカーも比較的安心です。

タイの休日:ビーチにて

週末には、日帰りや1泊で遊びに行けるところもあります。お酒を楽しむお店もたくさんあるので、 日本の居酒屋、スペイン風のバル、スポーツバーなどもすぐに見つかります。チャオプラヤ川沿いでタイビールを飲みながら友達とおしゃべりしたりします。

アジア雑貨のお店を見て回るのも楽しいです。モダンでおしゃれなお店、中華街などにあるレトロなお店など散策しながら楽しめます。

習い事をする機会もたくさんあります。私はタイマッサージ、スペイン語、テニスを習っていました。ヨガ、ピラテス、ジム、ムエタイ(タイボクシング)に通う友達もいました。

その他にも、タイ料理のクッキングコースに参加したこともあります。主催者の先生と市場を巡り、食材の買い出しをして、カレーもペーストから作りました。奥が深いタイ料理にすっかりハマってしまい、苦手だったコリアンダーも、今は大好きです!

おすすめグルメ:トムヤムクン


🔳 生活について

 タイといっても、住む都市によって生活は大分異なると思うのですが、バンコクは本当に暮らしやすい街だと感じました。日用品や食材などの買い物、外食、住居などあらゆる面において、現地の安いものから海外から輸入された高価なものまで、選択の幅が広いのです。

日系のスーパー、薬局、外食チェーン、(割高ではありますが)100均などいたる所にあり、馴染みのある日本の製品をいつでも購入できるので、現地の生活に慣れないうちや日本が恋しくなった時には心強いですね。

バンコクではいろいろな物件の内見をし、計5回引越ししました。一軒家、サービスアパート、コンドなど様々なタイプの物件があります。不動産屋さんに、予算・立地・部屋数などを伝えると、入居可能な物件の情報をLineやWhats Appで送ってもらえます。多くの不動産業者を利用しましたが、どこも気軽にかつ迅速に内見に対応してくれました。

予算によりますが、プールやジムが利用できたり、最寄り駅までの送迎サービス付きのコンドもあります。私は海外からの赴任ということで月々の住居手当がつきました。そのような求人もあるので、確認してみるといいと思います。

住居:5年間住んでいたコンド

リビング・プールの様子


🔳 これから日本語教師を目指すみんなへ

日本語教師といってもさまざまな働き方がありますが、教員免許を取得していることが役に立つ場合があります。例えばタイでは、就労ビザやワークパーミットの申請条件が厳しくなっており、日本語教師養成講座を修了しただけでは、タイの初中等学校で働くことができません。40代の知人は、一時帰国した際に、教育実習をして教員免許を取得していました。

また、日本語教師は世界的に見てもそれほど求人が多くないため、他にスキルがあると必ず強みになると思います。私の知り合いは「日本語と体育」「日本語とコンピューター」「日本語とフランス語」など、複数の科目を教えていました。私自身、スペイン語の授業も少し受け持っていました。

さらに、コロナ対策として、大学や語学学校を含めた様々な教育機関がオンライン授業に移行したと思います。2020年以前から、パソコンやタブレット端末を授業に導入する動きが拡大していたので、教育ソフトの知識は不可欠と言えるでしょう。先進国と途上国、裕福な家庭の子どもとそうでない家庭の子どもなどの間の教育格差を解消するために開発された無料アプリもたくさん出回っています。日本語の知識だけではなく、効率的な勉強方法や個人のニーズに合わせた指導が教育者には求められていくと思います。

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