日本語教師になるには
日本語教育、日本語の先生をやってみたい!と興味を持ったけれど、どうすれば日本語教師になれるのかわからない、どうすれば海外で日本語教師として働けるのかわからないという方が多いと思います。各項目について簡単にまずはざっくりとご紹介しましょう。
<どうやって応募するの?>
日本語教師の求人を専門にあつかうサイトはたくさんあります。当サイトでも求人情報を発信しています。日本語教師養成機関や、知人からの紹介等を除けば、ほとんどの海外で日本語教師したい人がこれらのサイトの求人を見てメールで応募しています。求人内容に書いてある事以外の詳細な事など、担当者とのメールのやり取りですすめていきます。英語圏ならば英語でのやりとりが多く、中国をはじめとしたアジア圏では、その学校に日本語のできる担当者がいることが多く、日本語での応募、面接がほとんどです。
書類選考後の面接は、海外の学校では大半がオンライン面接です。Skypeを使用します
<資格は必要?>
日本語教師になるために取得できる資格は現在下記の三種類が認められています。また国家資格などはなく、あくまで日本国内で認められている資格になるので、海外の学校によっては、これらの資格がなくても長年の経験もしくはやる気、明るい性格が面接で認められ雇用されるケースもあります。
- A 大学で日本語教育を専攻/副専攻すること 専攻証書
- B 420時間の日本語教師養成講座修了する 修了証書
- C 日本語教育能力検定試験に合格する 合格証
日本の日本語学校や大学や専門学校の求人はこの3つうちいずれかの資格、証書を要求しているところが大半です。下記がよくある求人の応募条件です。
応募条件(例)
四大卒で次のいずれかに該当する方
・日本語教育能力試験に合格した方
・大学にて主専攻で日本語学または日本語教育学を履修し卒業した方
・大学にて副専攻で日本語教育科目を26単位以上履修した方
・日本語教師養成講座420時間を修了した方
A 大学で日本語教育を専攻/副専攻すること
大学で日本語教育を専攻している方は大半の方が若い時にすでに目標を決めている人だと思います。現在、132の大学、短大が日本語教育課程があるようです。
日本語教師を目指せる大学・短期大学(短大)の一覧 132大学
中国やベトナムでのビザの手続きに有効です。
ただ、大学での履修は、教育実習が少ない傾向があり、副専攻の場合ですと教育実習がない場合もありますので、採用市場ではあまり人気はありません。
新卒でいきなり日本の大学や日本語学校で正社員として日本語教師として採用されるのは難しいと思います。そういう背景もあり、新卒の人は急速に日本語需要が高まっているベトナムやインドネシア、ミャンマー、フィリピンなどで短期インターンシップや就職でまず現場で実践力をつけているケースが多いようです。
現地に行けば、語学(英語や現地語)の勉強もできるし、現場の雰囲気を知ることができるし、海外での暮らしも経験できるので将来的に貴重な財産となると思います。
B 420時間の日本語教師養成講座修了
費用は50万円前後で、基礎理論から実践演習まで最短半年で修了できます。教師養成の日本語学校はたくさんあるので、自分の生活と学習スタイルにあった学校を選ぶと良いでしょう。学校によって特徴も教え方も違います。通信講座もあるようです。
〈内容〉
基礎理論講座
日本語教育能力検定試験の内容に準じた講座内容。また、日本語教師としての必須の専門知識を実例を通じ効率よく学ぶ。。
実践演習講座
基礎理論講座で学んだ理論を実際の場面でいかに応用し、実践していくか、初級から上級までの指導技術を、実践演習を通じて学ぶ。
教育実習講座
外国人対象に教師として実技授業を行う。これまでのシミュレーションから本物の教師へ総仕上げ
〈おすすめ日本語教師養成講座の学校〉日本語教師養成講座
C 日本語教育能力検定試験に合格する
日本語教育能力検定試験は、日本語教員となるために学習している方、日本語教育に携わっている方に必要とされる基礎的な知識・能力を検定することを目的としています。
日本語教育能力検定試験の受験資格は特になく、誰でも受けることができます。
1年1回 受験できます。受験料は10800円です。結構高いですね。
さて、合格率ですが毎年20数%と難易度は高めです。
(平成30年度 受験者数:6,801名/合格者数:1,937名(合格率28.4%)
周囲の合格者の意見では独学での合格はかなり難しいと聞いています。通信講座でDVD講義を見て、予想問題集を解きながら合格されている方が多いです。
海外で日本語教師をしながら通信講座で試験準備をされている方もいます。その日勉強した内容を教壇で実践してみて、インプットとアウトプットの車輪が効率よく回りますね。
<年齢制限は?>
基本的にはありません。20代から60代まで幅広く活躍できるのが、日本語教師の魅力です。
若い新米先生にははつらつとしたパワーがあり、年配の先生には豊な経験や知識などまた違った魅力があります。
大卒ですぐに日本語教師として海外に出る人や、まったく関係のない分野で働いてきた3、40代、日本の学校で長年教員を務め、定年退職したあと海外での日本語教師にをするシニア世代まで、本当に幅広いです。
ただ、中国の場合で言うと就労ビザを取得する関係で、新卒で日本語教育が専門でない場合と60代以上は難しい場合が多いでしょう。
<未経験でも大丈夫?>
資格はとったものの、日本語教師として海外の現場で実践するのは初めてで不安、という方も多いと思いますが、求人内容に〇年以上の実績があること、などの条件が指定されることは少ないです。
応募の後は面接(スカイプ面接等)での印象や態度、人柄などが重視されることが多いので、海外の環境でもたくましく適応でき、日本語教育が好きで、やる気があることを元気にアピールすることが重要でしょう。
まれにインターネット上で簡単に授業をしてみせる面接もあるようです。
初めての教壇はけっこう緊張します。でも、2~3回もすれば自然と慣れてきます。
場数が大切です。
アジア圏だと学生が盛り上げてくれますよ
<海外就職の場合、ビザはどうするの?>
その国の定めにそって就労ビザを取得します。中国についていうと4年生大卒でないと原則申請が通らない場合が多いようです。
また日本国内に、アジア圏に日本語教師として赴く人向けのビザ代行サービス会社もあり、それらを利用する場合も多いです。基本的には応募、採用通知をもらったあと、担当者と連絡をとりながら、ビザ取得の手続きを進めていきます。
ビザの手続きは必要書類を集めるところから始まり、数か月かかる場合もあります。その間担当者となんともやり取りをすることになるでしょう。
たとえば秋から外国で働きたいと思った場合、その年の春から準備を始めても早すぎないでしょう。余裕をもって応募することをおすすめします。
<海外就職の場合、その国の言葉ができないとだめ?>
中国やベトナム、インドネシアを例にとってお話すると、現地語ができる(または事前に習得する)必要はまったくありません。誰でも知っている挨拶言葉の二言しかわからないながら、海外に来て日本語教師にチャレンジする先生がたくさんいます。
むしろ、その前から現地語が話せる、という人の方が稀でしょう。外国人に日本語を教えるのに、まったく日本語がわからない相手にどうやって?と疑問になるのはもっともですが、日本語教育には、『直説法』というれっきとした教授法があります。(YouTube等に直説法での日本語の指導動画もあります)
日本語のみで授業をし、文法や単語の説明も日本語でします。中級レベル以上の学習者にたいしては非常に有効な方法で、聴解能力のアップや発話力、日本語ではじめから考える力が付きます。また超入門、例えばあいうえおを教える等も直説法で問題ありません。また会話授業の専門として日本人の先生を募集している場合も多く、会話授業ならばなおさら日本語のみの方が学習者にとってメリットがあります。
中級レベルに達していない学習者だと日本語での説明がわかりにくい場合があるのが難点ですが、基本的に、学習者は日本語教師が日本語しか意思疎通の手段がないとわかると必死で話そう、聞こうとします。その国の言葉がわからないこと自体が外国人教師の最大の長所でもあるのです。
その国の言葉が話せないからといって心配することありません、外国人教師として堂々と赴任先で活躍しましょう。※もちろんプライベートでは、生活会話ができた方がもちろん暮らしやすいでしょう。
週末に、ふらっと香港旅行に来てみた
<海外生活、保険は必要?>
いざ採用が決まり、外国へ単身赴くことになった時、必ず不安になるのが、病気や万が一事故にあった時の不安だと思います。
数か月の短期間ならば日本国内の海外保険をかける人や海外傷害保険付帯のクレジットカードを持参する方が多いと思います。
おすすめクレジットカード
エポスカード。年会費が無料なのに、海外旅行傷害保険が自動付帯という珍しいクレジットカード。クレジットカードを持っているだけで保険が適用されます。さらにエポスカードには海外緊急デスクというサービスがあり、24時間体制で日本語対応でサポートしてくれます。作ってて損しないカード。
しかし、1年2年契約で、赴く場合、海外保険料もばかになりません、そんなとき無保険で大丈夫だろうかと、心配になると思います。これは個人にもよりますが、健康にあまり自信がない場合や持病がある場合は、やや高額でも日本国内の保険に入っておいた方がいいかもしれません。
まとめ
日本語教師になるための条件、よくある疑問等を紹介してみました。欧米圏ではまた少し違う部分もありますが、大まかに言うとだいたいこのような心構えをしておけばよいと思います。
海外に飛び出して思い切り日本語教師として活躍してみたい、日本語が好きな学生に自分の母語である日本語、ひいては日本文化を教え広めたいという情熱さえあれば、それがあなたの夢を実現させるパワーになります。
今海外で日本人から日本語を習いたいけれど、学校に日本人の先生がいないという学生や、日本に強い憧れを抱いているものの実際に日本人と接するチャンスがなくて困っている学生など、世界中の学生があなたを待っています。チャンスはたくさんあります。
もちろん活躍中の日本語教師も、同じく活躍してくれる仲間を待っています。