○その学校への応募の経緯、きっかけ、探した方法
もともと海外での仕事に興味があり、以前の職場で働きながら420時間の養成講座に通っていました。タイを選んだのは、学生時代にタイでのボランティア活動に参加した経験があるというのが理由です。
「日本村」や「日本語教師の集い」という日本語教師向けの求人サイトで仕事を探し、2校に履歴書を送り、スカイプ面接をして、そのうちの1校で働くことになりました。タイはやはり首都バンコクでの求人が多いですが、バンコクはお金持ちのなんとなく勉強している学生やモチベーションが低い学生が多いと聞いていました。教えるならやりがいのあるところがいいと思っていたので、そこを基準に職場を決めました。結果的に、このような選び方をして良かったと思っています。
○学校紹介や仕事内容
私が働いていたのは、バンコク郊外にある小さな日本語学校です。今年の3月末まで2年間勤めていました。日本へ留学する予定の学生や技能実習生への日本語教育、また日系企業での出張授業などが中心でした。
パトゥムタニー
ゼロからの学習者が多く、ひらがなカタカナから始まり、「みんなの日本語」を教えていました。日系企業で働いているタイ人にN3~1の中級・上級レベルを教えることもありました。
留学生や技能実習生の学生は近所のアパートに住み込みで勉強するため、基本的には朝9時~夕方5時までみっちり教えていました。1日1課のペースで進め、漢字や会話練習も行っていました。
日系企業はその会社にもよりますが、だいたい1クラス2時間で週2~3回教えに行っていました。
その他、授業の合間に引継書や教材の作成などもありました。
○現地の言語は必要?
はっきり言うと、できるに越したことはないです。ただ、本当に職場環境によると思います。日本人の先生は会話練習や上級クラスしか教えないという学校であれば、職場では必要ないと思いますが、初級クラスも教えなければならないのなら、現地の言葉ができたほうがいいです。現地で初級クラスを直説法だけで教えるのは、正直厳しいと思います、話せなくても、授業に必要な単語やフレーズだけでもできれば、かなり教えやすいと思います。
また、現地で教える日本語教師は日本語だけでなく日本のルールを教えるのも仕事です。学生が時間を守らなかったり、カンニングをしていたりするとき、現地の言葉で叱れるほうがいいと私は感じました。言葉がわからないと、なめられる原因にもなります。言語を教えている立場なので、現地の言葉がわかると説得力もあります。生活面でも少し話せるだけで、かなり過ごしやすくなります。
教室風景
私は渡航前は挨拶ぐらいしかわかりませんでしたが、現地の言葉の必要性を感じ、勉強し始めました。
○こんなところがよかった
海外での日本語教師の経験を通して、視野が広がり考えた方や価値観が豊かになったことが、なにより良かったと思います。当たり前ですが、旅行で行くのと実際に現地に住んで働くのでは全然見える物も違い、その分得るものも多かったです。
客観的に日本という国について考えられたり、海外のニュースなどにも敏感になりました。
また、一緒に働いていた日本人の先生とは様々な状況を共にしたので、今ではかけがえのない友人です。
○苦労したこと
文化の違いで、日本での当たり前が通じずに苦労しました。頭ではわかっていたつもりでも、予想外なことが多く、その都度驚いたりストレスを感じたりしてしまいました。
時間を守らない、カンニングをする、授業中に音楽を聴いたりゲームをしたりお菓子を食べる、などなど…。でも逆に学生は日本の文化やルールを知らないだけなので、しっかりと日本での文化やルールを説明し、根気よく注意をしてあげる必要があります。
学生だけでなく、スタッフやタイ人の先生にも同じ事が言えるので、仕事を進める上でそれも大変でした。
学生とカレーParty
○休日の過ごし方(小旅行等)や住居等(アパート外観、写真等)
バンコクが近いので、ときどき観光に行ったり美味しい料理を食べに行ったりもしていました。最近タイは日本人に人気があるので、日本から遊びに来てくれた友人も多かったです。
タイの旧正月や日本の正月にはまとまった休みがあるので、そのときには北のチェンマイや南のサムイ島などにも旅行に行きました。
サムイ島
アパートは現地の人たちが住んでいるようなアパートに住んでいました。家賃、光熱費等を含めて毎月4,500バーツ(約15,000円)ぐらいのところです。あまり綺麗ではないですが、部屋も広いし便利でした。
タイのアパートは台所がついておらず、基本的には外食です。
ご飯物だと40~50バーツ(約135~170円)で食べられます。
○これから日本語教師を目指すみんなへ
日本語教師は決して楽な仕事でもないし、お給料もいいとは言えません。しかしやりがいもあり、楽しい仕事だと思います。また、日本語教師でも海外と日本では全然違いますし、学習者が留学生なのか、技能実習生なのかなど、勉強目的によっても全然違います。
どんな日本語教師を目指したいかによって、働く国も職場も変わってくると思うので、色々調べた上で是非チャレンジしてみて欲しいです。日本語教師はその国の言語が話せなくても、現地で働けちゃうある意味すごい職業です。海外で働くことはすごくいい経験になると思います!
パトゥムターニーはチャオプラヤー川流域に位置しバンコクに隣接する、数多くの運河とオレンジ果樹園がある街。
3世紀以上前のアユタヤ時代に設立されたパトゥムターニーには、禁漁区のあるモン様式のワット・ホン・パトゥンマワットをはじめ、モン族村落によって建立された初めての僧院、ワット・シンのような古い寺院があります。
またチャオプラヤー川上流のワット・パイ・ロームは、有数のシロスキハシコウの生息地のひとつ。チャオプラヤー川流域の中央平野はフルーツ、野菜、花、植物と豊富な大地の恵みをもたらしてくれる農業地帯です。
https://www.thailandtravel.or.jp/areainfo/pathumthani/
タイ 日本語学習者数
高等教育
国際交流基金が実施した2015年度日本語教育機関調査によると、国立・私立大学を合わせて90以上の大学で日本語教育が行われている。そのうち主専攻学科を持つ大学は、国立が30校(33学科)、私立が8校である。主専攻学科は文学部や人文(社会)学部に設置されている。東北部のコンケン大学と中部のブラパー大学は、教育学部に日本語教育専攻課程を設置している。これらは他大学とは異なり、日本語教員の養成を目的としており、卒業生は日本語教員免許が取得できる。
2014年度時点の情報では国立大学の中のラチャパット大学では40校中25校で日本語コースが開講されており、主専攻コースを開講するラチャパット大学は11校ある。観光学科の日本語履修コースも多く、実務日本語への指向も強い。なお、ラチャパット大学や私立大学では日本人教師の占める割合が大きい。
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/area/country/2016/thailand.html
修士課程、博士課程に関しては、上記「沿革」に記したとおりである。