ポーランドで日本語教師。働きながら海外を好きに移動できる仕事

私は元々日本語教師になろうとは思っていませんでした。大学も卒業間近、就職をどうするか悩んでいました。働きながら海外を好きに移動できる仕事を探していた時、あるサイトで「外務省専門職員」という職業の方が書かれた記事に出会いました。その方はポーランドに配属された方でした。記事を読んでいるうちにポーランドに興味がわき、一度は「外務省専門職員」を目指しましたが、必ずしも自分で配属先を選択できるわけではないと知り、落ち着いたのは「日本語教師」という職業でした。大学を出てから日本で日本語教師になるために必要な日本語教育を修了し、日本語教師の求人は、主に「日本語教師の集い」というサイトを通して探していました。求人はヨーロッパの雇用主が少ないため、ほとんどがアジアを占めています。しばらくポーランドの求人を探しますが、ヨーロッパの求人は常時あるわけでもないので、インターネットで現地の語学学校を探し、直接連絡して履歴書を送ったりしました。しばらくたったころ、やっとポーランドの会社に就職が決まり、ポーランドへ行けることになりました。



学校紹介

就職が決まったのは、個人が運営する語学学校でした。少人数のアットホームな学校で、教師同士も仲が良かったです。クラスはプライベートから最大9人までの少人数制で、年齢は幼児から教えていました。

ヨーロッパは新学期が9月からです。夏休みは多くの学生が休暇のためお休みするのですが、社会人を中心に、希望の学生のみ夏休みクラスを開講していました。こちらは常時のクラスとは違い、夏休み特別コースで、勉強する内容も普段の教科書とは全く違う内容になっています。イベントも不定期ですが、茶道や新年パーティなどを主催していました。

学習者の国籍はもちろんポーランド人です。クラスの初めにレベルチェックし、学習目的、年齢やレベルなどを考慮してクラス分けをします。使用教材は「みんなの日本語」でした。学校に教材がたくさんありましたので、漢字やJLPTなど個々の目的に合わせて教材を変えていました。教室にはホワイトボードが設置されているので、私はそれを使用していましたが、指導法に特に決まりはなかったので、先生によってはパソコンを使ったり、プロジェクターを使用したりされていました。

年齢に合わせて、ゲームを多めにしたり、幼児なら教科書も使用しません。プライベートの場合は基本的に学生に合わせて準備していました。教材は用意しますが、日によって「今日はこれがしたい」「今日は教科書はしたくない」などがあるので、柔軟に対応していました。また、アクティビティを増やすなど、できるだけ学生が日本語を話す機会を多くすることに努めました。

現地の言語は必要?

教授法は各学校によって違うと思いますが、私が働いていた会社は直接法での教え方だったので、基本的に日本語で教えていました。ただ、超初級に関しては現地語での翻訳(自社製)が記載された資料を使用していましたが、教師が実際に現地語を話して教えるわけではありませんでした。もちろん、生活するうえで多少の現地語は必要になるので、私の場合は独学で勉強していました。直接法での教授の難しいところは、日本語のみで学習者に理解してもらうことですが、その分聴解力があがることや、自然な日本語の表現力が身に付くというメリットもあります。実際のレッスンの際に現地語は必要ありませんが、教師も現地語を知っているとすごく便利ですし、生徒同士が間違ったことを教え合っているときにも訂正できます。何より、教師が現地語を話せるだけで一気にクラスの雰囲気も和みますし、教師が話すと学生は丁寧に直してくれたり色々なことを教えてくれたりもします。

こんなところがよかった

担当学生が決まっているのと、少人数なのでアットホームな雰囲気で授業を進められ、学生同士も仲良くなれたことです。歴史についても聞かれることが多いので、自分でも勉強になることも多かったです。日本とはまた違うものの見方や価値観などに触れることでこれまでとは違う考え方を養うのにも良かったです。一番のモチベーションになるのは学生からのフィードバックや感謝の言葉です。

苦労したこと

クラス内でも学生によってできるできないがあるので、進行が時々難しこともありました。理解の早い学生に合わせるとついていけない学生も出てきますし、かといってゆっくり進めすぎると暇になる学生も出てきます。活動中に、追加で課題を与えたり、学生の活動組み合わせを工夫したりして学生同士教え合ったりできるようにしていました。

また、教師内では一応の進度目安がありますが、学校としては明確なカリキュラムがなかったので、よく休む学生がいるクラスの場合も進行をどうするか考えなければならないこともありました。

ポーランド人と日本人ではもちろん習慣が違いますが、特に期限に関する捉え方が違ったのも少し難しかったです。イベントを開催するにも、ぎりぎりまで返答を待たないといけなかったり、当日キャンセル、または当日予約なしで参加するなんて言うのもよくあることでした。

ポーランドでの休日の過ごし方

私は旅行が好きなので、長期休暇があれば旅行に行ったりしていました。ポーランド国内はもちろん、EUは国境移動も簡単にできるので、近隣ヨーロッパへもたびたび旅行しました。

↑ワルシャワの旧市街付近

自然が好きなので、ハイキングに行ったり散歩したりもしました。

↑ポーランドには公園がたくさんあります

ポーランドでの生活編

ポーランドは日本に比べて湿度が低いため、夏でもエアコンなしで快適に過ごせました。緯度が日本よりも高いため、地域にもよりますが、私が住んできたところは冬は-20度程まで下がります。室内には暖房完備されていますので、学生は夏でも冬でもTシャツなんてこともよくありました。

住居は自費ですが、会社から一人暮らし用のアパートを用意してもらえました。私は引っ越しが好きなので、ポーランド滞在中に何度か引っ越ししました。ポーランドは建物が古く、6階建てくらいならエレベーターがないところも多いので、足腰を鍛えるには良かったと思います(日本と違い、1階は0階と呼びます)。そして、家具付きのアパートも多いので引っ越しも心配しなくてもいいです。

ポーランドは物価が安い割に住居費がかなり高いので、驚きました。その分、食費などは物価が安いので安く抑えられます。ポーランドの首都ワルシャワは、それでも日本よりは安いですが、もっと物価が高くなります。

↑シェアアパートの一室。小さいです

ポーランドは税金がものによって違います。食品でも種類によって%が違い、レシートを見ると細かく記載されてるのがおもしろかったです。

ポーランドはキリスト教が多く、祝日やイベントもたくさんあります。教会もたくさんあるので、見に行く機会も多かったです。クリスマスの過ごし方も日本とは全く異なるのでとても面白いです。クリスマスシーズンはマーケットが開かれ、人で賑わいます。

地域によりますが、ポーランドはあまり英語が通じません。大きい都市だと観光客も多いので話せる人も多いですが、地方や年配の方だと通じないことが多いです。

また、ポーランド人はとてもシャイです。お酒には強いですが、アルコールが入ると陽気になるので普段よりも話しやすくなるかもしれません。シャイですが、とても親切で礼儀正しいです。ポーランド語には日本語のような尊敬語のようなものがあまりありませんが、先生や目上の人に対してとても丁寧に接し、言葉づかいにも気を遣います。

ポーランド料理は日本人の口によく合うのではないかと思います。魚を食べる習慣もありますので、スーパーでも日本と同じとは言いませんが様々な魚が売られています。ベジタリアン、ヴィーガン向けのお店も多いです。根菜類や果物などは安く購入することができます。寿司をはじめとした日本食も人気ですので、スーパーなどでアジア食材を気軽に手に入れられます。日本食レストランはお値段が高いので行ったことはありません。

ポーランドおすすめグルメ

ポーランドにも餃子のようなものがあります。中の具材はいろいろあるのですが、ジャガイモや肉、酢漬けのキャベツなどが有名です。

ヤギの乳から作られたスモークチーズも有名です。

また、ポーランドのチョコレート、蜂蜜も有名で美味しいです。

↑ケーキも美味しいです。さすがポーランド、ケーキもアルコール強め!

これから日本語教師を目指すみんなへ

資格のある日本語教師になるにはいくつか方法がありますが、大学や教育機関などで教える場合は主に大学卒で「日本語教育試験」に合格していないと難しいです。資格がなくても教えることはできますが、海外で活躍したいとなれば、選択の幅を広げるために資格を取得しておくことをお勧めします。また、日本語教授法は学校や機関によって異なりますが、少なくとも英語で文法を説明できた方が就職に有利になると思います。現地語は必ずしも必要ではありませんが、生活面のことも考えると初級程度は勉強しておいた方が困らないと思います。はっきり言いますが、日本語教師は給与がいいわけではありません。(大学や公立学校勤務ならいい待遇があると思いますが)それに教材準備にも初めのうちはかなり時間を取ります。この時間はもちろん給与には含まれません。学生に合わせて教材を準備するので、新しい教材を一から作成することも多いです。その手間や労働時間も楽しんでできる方なら、日本語教師になっても楽しく働いていけると思います。つまり収入よりも奉仕性、精神性を重視する方に向いていると思います。しかし、日本語教師になった暁には異文化交流も含め、学生とのふれあいや教える楽しさなどを一層強く実感できるはずです。反対に勉強させられることも多々あります。まずはボランティアや資格がなくても始められるところから経験を積んでいき、実際にやってみて自分に合うかどうかを試してみるのもいいのではないでしょうか。

ポーランド情報

ポーランド共和国。通貨はズウォティ。首都はワルシャワ。

北はバルト海に面し、北東はロシアの飛地カリーニングラード州とリトアニア、東はベラルーシとウクライナ、南はチェコとスロバキア、西はドイツと国境を接する。10世紀に国家として認知され、16世紀から17世紀にかけポーランド・リトアニア共和国を形成、ヨーロッパで有数の大国となった。18世紀、3度にわたって他国に分割された末に消滅(ポーランド分割)、123年間にわたり他国の支配下ないし影響下に置かれ続けた

日系企業の現地進出状況
2014年、ポーランドに進出している日系企業はトヨタ、ブリヂストン、味の素、シャープ、東芝など約261社。そのほかのEU中東欧国への進出は、チェコ約186社、ハンガリー約140社、ルーマニア約100社

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89#%E7%B5%8C%E6%B8%88
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